一部屋一坪!?ソウル・鍾路3街のど真ん中「敦義洞」に壮絶な極小ドヤ街が存在していた!

韓国の首都・ソウル特別市の中心を流れる漢江を境として北側が「江北」、南側が「江南」に大きく分かれているが、古くからのソウルの市街地があったのは江北地域で、その中の「鍾路区」というのはど真ん中もど真ん中、特に鍾路3街付近がソウルで最も古くからある繁華街という位置づけである。

韓国 ソウル 鍾路3街

この鍾路3街には地下鉄1・3・5号線が通っており都心における交通の要衝である事は言うまでもなく駅周辺は繁華街としても非常に賑やかな場所である。ソウル駅からも電車で10分以内。どこへ行くにもクソ便利なので、当方もソウルで宿を取る時は大抵鍾路3街だ。

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しかしこの鍾路3街、駅から一歩地上に出たら御徒町かよ?!と思うような品のない宝飾店がずらりと並んでいたり、やけに呑んだくれオヤジやホームレスがたむろしていたり、何とも小汚さが目立つ。

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これをさしずめ日本の都市に当てはめるとすれば上野あたりと天王寺・新今宮あたりを足して二で割るどころかそこにキムチ汁をぶち込んでグツグツ煮詰めて出来たような雰囲気と表現すれば良いのか、ソウル市内において最も濃厚な都市文化が凝縮された土地である事は間違いない。

韓国 ソウル 鍾路3街

鍾路3街付近は昔から浮浪者や身寄りの無い高齢者が集まる地域で、タプコル公園や宗廟公園といった場所が特に彼らの溜まり場となり、さらに「バッカスおばさん」と呼ばれるお爺さん相手に春をひさぐ高齢女性までもが集まる。そして人通りの多いメインストリートの鍾路沿いもいきなり著作権的に不明瞭な「くまのプーさん」の偽物が現れたりするので油断ならない街だ。

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さらに大通りを外れて迷路のような路地に入ると、韓国では未だにタブー視が強いとされるゲイの溜まり場も多分に存在し、「文化サウナ」を代表するソッチ系専用の施設がそこかしこに存在している。平たく言えば「はみ出し者の終着地点」、やはり上野あたりと雰囲気が被る。

韓国 ソウル 鍾路3街

いろんな意味で「役満状態」なソウルのオールドタウン、鍾路3街であるが、これだけ揃っていればやはり「ドヤ街」というものも存在するらしく、住所で言うところの「敦義洞(돈의동)」の路地の奥まった僅かな区画に隠れるようにあるというのだ。

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場所は地下鉄5号線に近い鍾路3街駅3番出口を出てすぐ南側の一画だ。道路(敦化門路10キル)を挟んで北側に焼肉(カルメギサル)横丁が並んでいる路地があるので、そこを目印に反対側の路地に入れば良い。程無く現れるのが、敦義洞のドヤ街。のっけからハングルで「小便禁止」の注意書き。

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首都ソウルだけあって、貧困層が寄り添って暮らす「ドヤ街」に類する地域は有名な永登浦も含めて複数存在する。韓国では「チョッパン村(쪽방촌)」、つまり「狭い小屋の村」という意味合いでそう呼ぶのだが、その中でも敦義洞のドヤ街の狭さは究極レベル。50メートル四方もない、僅か1000坪の土地に100軒以上のドヤが密集、700人近くが暮らしているというのだ。

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これだけの密集度の上に道幅1メートル程しかないこんなクソ狭い路地が唯一の動線となっている。朝っぱらからうろついていると早速「住人」達ともすれ違う。全員が全員ではないけど、たまに凄い形相で睨んでくるオジサンもいて、おっかない。正直、観光客を装ってカメラをぶら下げて歩く事すら危険だ。この場所はガチな雰囲気がプンプン漂う。

韓国 ソウル 鍾路3街

このチョッパン村に住んでいるのは殆どが高齢者か就労の難しい身体障害者ばかりである。金も身寄りも無い人間でもここに来れば月20~25万ウォン程度の家賃で辛うじて寝食ができるスペースが確保できる。「住人」の多くは日本で言う生活保護に類する行政の給付金で食い繋いでおり、月額給付されるうちの半分が家賃支出になり、残り半分で生活するイメージらしい。つまるところ「月2万円(20万ウォン)生活」である。

韓国 ソウル 鍾路3街

敦義洞のドヤ街は特に狭さが際立つが、部屋の中も大人が寝転ぶだけで精一杯のスペース、畳1畳半~2畳、わずか1坪程度の広さしかなく、それが4~5室×3階建てという無茶苦茶な密集ぶりである。日本のドヤとか違法シェアハウスの方がマシに思えてくる。

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なにせ玄関口ですらこんなに狭いんだもの。中を覗き見ればまるでハシゴのような急角度の階段、そこを登った先にも部屋がある。玄関や階段の幅も50センチくらいしかない家だってある。北の将軍様以下栄養過多のデブはまず通れません。

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日本の山谷や釜ヶ崎のようなドヤ街はまだ消防法の決まりに従った「割と文化的な」簡易宿泊所が多いのに対し、一方の韓国の場合はそんな概念もない。違法建築物レベルだ。

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こんなに糞狭い空間では玄関先で椅子を並べて座るくらいの事しかできない。椅子を置いただけでも通路の半分の道幅を占拠する程、この道の狭さがビジュアルで理解できるだろう。

西成釜ヶ崎で見かける「路上で酒盛り」の光景がむしろこちらから見れば贅沢にすら思える程だ。暇さえあればタプコル公園や鍾路3街駅付近でたむろしているオッサン達は、ご多分に漏れずここの住人だったりして。

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こんな酷いチョッパン街ではあるが、中にはちょっとしたスーパーマーケットもある。パッと見普通のスーパーかと思いきや「월세방 있습니다」「빈방 있습니다」と書かれたプレートが。っていうかスーパーで空き部屋仲介してるのかよ。

韓国 ソウル 鍾路3街

ドヤ住みのオッサンが数名たむろする一画を通り抜けると韓国語で何か因縁付けられたような物言いをされたが、言葉が通じないふりをして素通りした。やはり旅行者の闖入は彼らにとって快いものではないようだ。しかし偶然旅行者が迷い込む事くらいあるよね。一応、鍾路3街という繁華街のど真ん中なんだし。

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敦義洞のドヤ街は規模的には非常に小さく、路地の中を周回するのもあっという間だが、少し歩き回るだけでも方向感覚が分からなくなってしまう。

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あちこち「空き室あります」の張り紙だらけというのがドヤ街ならではで、ひとまず「월세방」という韓国語だけは覚えた。「월세」(月貰)で日本で言う家賃の意味になるので、つまりそういう事だ。

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しかしそもそもこの一画がドヤ街になった経緯は何なのか、歴史を遡るとここいらは元々朝鮮戦争時代から続く私娼街で、1968年にソウル市当局による「蝶々作戦(나비작전)」と呼ばれる大規模浄化作戦が行われるまでこの土地を含めて鍾路3街一帯が大規模な売春窟だったという。

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浄化作戦で私娼街が潰された後に空き部屋となったところに入居しだしたのが、今度は「日雇い労働者」となった、というのがおおまかな経緯らしい。

時代は違うが、一時は韓国からの「出稼ぎ」で溢れていた横浜の有名悪所「黄金町」も2005年に潰されて、今となっては素性不明の外国人や貧困層が住むレンタルルームになっている所を見ると、共通点がある気がしてならない。


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DEEP案内シリーズ管理人。2009年から海外各地を訪問し始め、現在の訪問国は25ヶ国。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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