バンコクの都心にそびえる超巨大高層廃墟ビル「サトーン・ユニークタワー」

タイのバンコクと言えば最近は反政府デモが長期化してスクンビット通りやら何やら主要道路を封鎖してお祭り騒ぎになっていたり爆弾が破裂して死人が出たりしておめでたいやらおっかないやら分からない困った状況が続いているとの事だが、我々は2013年春にバンコクを訪れていた。まずやってきたのは、BTSサパーンタクシン駅。

サパーンタクシン駅にやってくる観光客の殆どは同じ方向に向けて歩き出す。駅の目の前を流れるチャオプラヤー川を渡るクルーズ船に乗るのが目的だ。駅前の高架下には観光客向けの屋台やらがずらりと店を構えている。

当初はBTSから乗り継いでサトーンピアという船着場から川沿いに王宮やらシリラート病院なんぞに行こうと思ってやってきた訳だが、市内の移動を何度も繰り返しているうちに結局3回くらいサパーンタクシン駅を使っている事に気づいた。なんかここの駅、廃止される話もあるんだそうですが、無くしてしまうと不便な気がしますよ。

しかしこの駅からチャオプラヤー川とは逆方向に目を向けると、何やら場違いに巨大な超高層ビルがデーンとそびえているんですね。しかもビルの全面にどでかい広告幕が貼られていて、かなり大雑把な土地の使い方をされている。実はこれ「廃墟ビル」らしい。

「サトーン・ユニークタワー」(Sathorn Unique Tower)という名前がつけられたこの建物、地上49階建てというバンコクでも指折りの超高層ビルなのだが、1990年代の経済発展著しい時期に着工し、659世帯が入居する高級分譲マンションになるはずだったそうだ。それが1997年に起きたアジア通貨危機の影響をモロに受けてデベロッパーが倒産、それ以後、建設がストップしてしまい巨大な廃墟になってしまいましたといういわくつきの物件に。

この現実離れしていて特徴あるゴージャスな感じのバルコニー、すぐ近くにある「ルブア・アット・ステート・タワー」と実はデベロッパーが同じで、バルコニーの形状もよく似ているので二つ見比べれば分かるのだが、ステートタワーの方は買い手があったので廃墟にならずにちゃんと高級ホテルとして使われている一方でこちらは見るも無残な…という運命の分かれ目。今では「ゴーストタワー」だなんて有り難くない愛称まで付けられていてバンコクではお馴染みの都市風景となっております。

で、かれこれ15年以上バンコクのド都心で超弩級廃墟として君臨するサトーン・ユニークタワーは単なる広告塔としてだけではなく地元DQNの肝試しスポットに使われたり、中には不法占拠して暮らしている住民もいたりで内部は無法地帯の魔窟と化しているようだ。外壁を見ているだけでも相当落書きされまくったり酷い姿を晒している。

せっかくなのでこの廃墟タワービルにお近づきになりたい!という事でビルの足元まで来てやってきた訳だが、サパーンタクシン駅から徒歩3分も掛からない好立地にこの建物はある。いやあ、15年以上も放置プレイだなんて勿体無いっすよねえ。

入口まで近づいてみると、金網の扉で仕切られており一応外部の侵入者からの立ち入りを拒んでいる。タイ語であれこれ書いているが読めないので何が書いてあるのか分からんのだが、扉は片方が開きっぱなしになってて中には普通に人が行き来している。

明らかに生活の匂いが漂う金網の向こうの敷地内…やはり廃墟は廃墟なりに有効活用されているんでしょうかね。どうやらネット上で調べるとこのビルの「管理人」とやらにチップを渡して内部に潜入している人とかが居たりして笑えるのだが、この管理人とやらも勝手に居座ってる連中なんじゃないのか。あんまり不用意に近づくと不法占拠住民達に何されるやら分からないので外観だけ見ていきますね。

廃墟タワービルの真横に往来可能な路地があるので入ってみる。ここに来ると建物のすぐ目の前まで近づく事ができて迫力満点。あまりにも近すぎるので怖い。上から物投げられたら死ねる自信がある。

路地を跨いで立派な立体駐車場まで建設されていたがこれも例外なく巨大廃墟の一部分と化しており、あまつさえその周辺はゴミ溜めがうず高く積まれていて不法占拠住民の長年の生活ゴミだか何だか分からんがめちゃくちゃな事になっている。

廃墟タワービルと廃墟立体駐車場とを結ぶ渡り廊下が真下から拝めます。こんなの絶対渡りたくないですね。しかし地上49階まで全部出入り自由で、そこで暮らしてる人達の感覚って何でしょうね。

我が国日本でも廃墟ビルはあるにはあるが、こんな49階建ての超高層ビルがそのまんま廃墟になっているのはまずお目に掛かれなさそうな感じがする。バンコクに来たらこのサトーン・ユニークタワーを眺めてアジアの底力を感じて欲しい。

サトーン・ユニークタワーの内部画像はこのへんのブログでどうぞ。


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DEEP案内シリーズ管理人。2009年から海外各地を訪問し始め、現在の訪問国は25ヶ国。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。